9月に入ると、街には秋の気配が少しずつ混じり始め、コンビニやカフェのショーケースにも「ハロウィン限定」スイーツが並びはじめます。
2025年は、例年よりも早い時期からハロウィンモチーフのスイーツが登場し、SNSを中心に“秋先取り”のムードを盛り上げました。「かわいいけれど、少しホラーで美味しい」。
そんなギャップを楽しむ人たちの間で人気を集めた今年のハロウィンスイーツには、見た目・素材・テーマ性すべてにこだわったブランドの工夫が光っています。
9月から始まる“早すぎるハロウィン”商戦
出典:photo-ac.com
各ブランドが仕掛ける“先行発売”の波
例年、ハロウィンスイーツが登場するのは10月初旬ですが、2025年はまだ残暑が残る9月1日ごろから販売を開始するブランドが相次ぎました。サンマルクカフェでは「プレミアムチョコクロ スイートポテト」が9月19日に発売され、秋らしい味とハロウィンデザインが話題になりました。また、ローソンやゴディバのコラボスイーツも「#ハロウィンスイーツ開幕」というタグとともにSNSで拡散され、多くの注目を集めています。
早めの展開が生んだ“秋の切り替え需要”
まだ暑さの残る時期にハロウィンスイーツを出す理由は、季節の切り替えを楽しみたい心理にあります。
夏と秋の境目に「新しい季節を感じたい」という消費者の気持ちを、ハロウィンというビジュアルで刺激する戦略です。
特にZ世代の間ではSNS映えを重視する傾向が強く、「限定・かわいい・写真映え」の三拍子がそろったスイーツが投稿の定番となっています。
2025年の主役は“見た目×素材”のバランス
出典:prtimes.com
宝石のような琥珀糖スイーツが話題に
2025年9月26日に登場した「琥珀糖スイーツ」は、ハロウィンカラーの紫やオレンジを基調とした透き通る美しさで大きな話題を呼びました。
「#食べられる宝石」というハッシュタグとともにTikTokやInstagramで拡散され、光を透かす動画が多くの“いいね”を集めています。
ただ見た目が可愛いだけでなく、“ガラスのような食感”や“口の中で溶けていく儚さ”も人気の理由です。
ビジュアルの美しさがそのまま購買意欲につながる、今の時代らしいスイーツといえます。
秋の素材がハロウィンを引き立てる
かぼちゃやさつまいも、栗といった秋の味覚をハロウィンデザインと組み合わせるスイーツも続々登場しています。
安納芋クリームを包んだ「スイートポテトチョコクロ」や、紫芋のモンブラン風ケーキなど、“和×ハロウィン”の融合が進んでいます。
見た目は洋風、味わいは和風という意外な組み合わせが、新しい秋スイーツの定番として定着しつつあります。
ホテル&カフェで広がる“体験型スイーツ”
出典:anaintercontinental-tokyo.jp
ANAインターコンチネンタルが仕掛けた“ホラーティー”
東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京では、ドクロ型チョコレートや血のようなソースが滴るケーキなど、ホラー要素を盛り込んだ「ハロウィン・アフタヌーンティー」を展開しています。
「食べるだけでなく、雰囲気ごと楽しむ」体験型のスイーツとして注目を集め、予約開始直後から話題となりました。
“映える空間”が消費を後押し
ホテルスイーツやカフェの限定メニューは、味覚だけでなくフォトジェニックな空間体験を提供する方向へ進化しています。
撮影用の背景セットを用意したり、照明をオレンジトーンに調整するなど、“ハロウィン=写真を撮りに行くイベント”という文化が9月から根づきはじめています。
変化する消費者心理とハロウィンスイーツの未来
出典:photo-ac.com
「怖い」より「かわいい」が主流に
かつてのハロウィンは「おばけ」「ホラー」「仮装」が中心でしたが、近年は“怖いよりかわいい”を重視するトレンドに変わっています。
血やゾンビをテーマにしたスイーツよりも、パステルカラーの魔女やゆるホラー風キャラクターをモチーフにしたメニューが人気です。
これに合わせ、スイーツも柔らかな色味やデコレーション重視の方向にシフトしています。
限定パッケージとギフト需要の高まり
自宅で過ごす時間が増えたこともあり、ハロウィンスイーツを“自分へのご褒美”や“贈り物”として購入する人も増えています。
焼き菓子やクッキー缶にハロウィン限定パッケージを施すだけで、購入意欲を高められる傾向にあります。
この動きは、10月の本格的なハロウィンシーズンに向けてさらに加速していくと見られます。
まとめ:9月は“甘い秋”のスタートライン
2025年9月のハロウィンスイーツブームは、単なる季節イベントではなく、
“秋の始まりを感じる文化”として定着しつつあります。まだ暑さが残る時期でも、秋を先取りしたくなる気持ちに寄り添うように、
各ブランドは見た目にも味にもこだわった限定スイーツを展開しました。かわいくて、ちょっとホラーで、美味しい。
ハロウィンスイーツは、そんな相反する魅力をあわせ持つ“甘い風物詩”として、
今年も多くの人々の心を動かしています。