出典:photo-ac.com
梅雨入りの気配を感じる6月。ジメジメとした空気の中で、少し憂うつになりがちなこの季節に、「今年もそろそろやろうかな」と静かに心を弾ませる人がいます。
それが、“梅しごと”。
スーパーに並ぶ黄緑色の青梅、氷砂糖、保存瓶。
SNSでは「#梅しごと」「#梅シロップ作り」などの投稿が初夏になると急増し、今では老若男女を問わず、“自分でつくる季節の手仕事”として人気を集めています。いま、なぜ“梅しごと”がこれほど人々の心を惹きつけているのでしょうか?
「梅しごと」とは?
出典:photo-ac.com
「梅しごと」とは、毎年6月ごろに出回る生の梅を使って、梅酒・梅シロップ・梅干し・梅ジャムなどを手作りすること。とくに青梅(6月上旬)と完熟梅(6月中旬~下旬)の時期が重なる6月は、1年でたった1カ月しかない“梅仕事の季節”です。
たとえば、
• 青梅+氷砂糖+酢 → 梅シロップ
• 青梅+氷砂糖+ホワイトリカー → 梅酒
• 完熟梅+塩+赤じそ → 梅干し
というふうに、組み合わせ次第で味わいが変わるのも魅力。
昔はおばあちゃんの手作業のイメージが強かったこの習慣ですが、最近ではZ世代や30代の一人暮らし層にも人気が広がっています。
なぜいま「梅しごと」が注目されているのか?
出典:photo-ac.com
1.“暮らしの満足度”を高める手段としての再評価。
コロナ禍をきっかけに「おうち時間の充実」が求められるようになり、丁寧な暮らしや自炊の延長として梅しごとを始める人が増加。
2.SNSとの親和性。
仕込みの様子や瓶詰めの見た目がとにかく映える! 清潔感のあるガラス瓶に並ぶ青梅と氷砂糖の層は、思わず写真を撮りたくなる美しさです。
3.ノスタルジーとセルフケア
手間をかけて季節の食材を仕込むという“非効率な行為”が、忙しい現代人の心に落ち着きを与えてくれる。「完成まで数週間かかる」という待つ時間も、心を整えるリズムのひとつです。
誰でも簡単にできる「梅シロップ」の作り方
出典:photo-ac.com
はじめての梅しごとにおすすめなのが、梅シロップ。子どもから大人まで楽しめて、ノンアルコールなのでプレゼントにもぴったり。
【材料】
・青梅(洗ってヘタを取る):500g
・氷砂糖:500g
・殺菌済みのガラス瓶(1.5L程度)
【作り方】
1. 青梅を洗って水気をふき、竹串などでヘタを取る
2. 瓶に梅と氷砂糖を交互に入れる(梅→砂糖→梅…の層)
3. 毎日1回瓶を軽く振る(砂糖が溶けてくる)
4. 約1週間〜10日でエキスが出たら、完成!
炭酸で割って梅ソーダ、ヨーグルトにかけても、かき氷のシロップにしても◎。冷蔵保存で約1〜2ヶ月楽しめます。
梅しごとは「日本人らしさ」を思い出す時間
出典:photo-ac.com
日本には、旬を味わい、季節の手仕事をするという文化があります。
梅しごとはその代表ともいえる習慣であり、「この時期にしかできない」という限定感も、日本人の心にそっと響くのかもしれません。また、保存食という“先の楽しみ”を仕込むことは、未来の自分へのちょっとしたギフト。
数週間後の自分に「おいしい」を届けるという優しさも含まれています。
まとめ:6月は“仕込む”月
出典:photo-ac.com
雨が続いて出かける気が起きない日も、なんとなく気分が沈みがちな日も。
そんなときは、ひとつ瓶を用意して、梅を詰めてみる。香り、色、味、時間――すべてを使って季節を感じられる“梅しごと”は、6月だからこそできる静かな贅沢です。毎日が忙しすぎる人にこそおすすめしたい、そんな初夏の小さな習慣。今年の6月、あなたも「季節を仕込む」暮らし、始めてみませんか?