すき焼き『ちかよ』は、お肉を心ゆくまで味わえる、ちょっと変わったすき焼き屋さんです。一般的なすき焼き屋と違うところは、お肉しか使わないという点です。野菜や豆腐など、いつも入っている具材は一切なし!2022年に江の島店、2023年に渋谷店がオープンしました。
今回、『ちかよ』の魅力を店主の藤原佑太さんに直接インタビューさせていただきました!
シンプルだからこそ奥深い 一枚一枚丁寧に焼き上げる、本物のすき焼き体験
『ちかよ』のすき焼きは関西風のすき焼きで、厳選された黒毛和牛を、割り下を使わず、砂糖と醤油だけのシンプルな味付けにすることで、お肉そのものの美味しさを存分に味わえるように作られています。お客さんの目の前で一枚一枚丁寧に焼いている間に、店主の藤原さんがお店の熱いこだわりについて語ってくれます。
他とは違うすき焼き『ちかよ』が誕生した経緯やこだわりのポイントについて、語っていただきました。
野菜嫌いから生まれた唯一無二のすき焼き屋!『ちかよ』のコンセプト
店名の『ちかよ』は僕のおかんの名前です。子供の頃から野菜が嫌いで、肉しか食べていなかったので、肉だけのすき焼きというのがコンセプトです。内装も、友達の家に行くような居心地の良さを表現したくて、カウンターを低めにしたり、あえて空間を狭めにしたりしています。
大阪大学を中退して、アメリカの大学に行って以降、駐在などで海外経験が長かったこともあり、元々海外で何か事業をやりたいなと思っていました。すき焼きを選んだのは、和牛が海外で人気だったのと、大手のすき焼き店が海外にあまり進出していなかったということに加え、どのお店もまだSNSに力を入れていなかったので、そういった意味でイケると思ったんです。
独立後、最初の3~4年は『熟成兄弟』というケータリング業をしていて、そのときの活動がきっかけで肉屋さんが応援してくれるようになりました。ここが勝負だ!と思い、江の島からスタートし、渋谷でも店舗を持つようになりました。海外で戦いたいと思っていたので、やはり海外の方の勢いがすごい渋谷を選びました。また、『ちかよ』の新しい業態がどこかに真似されるだろうと想定して店作りをしていたこともあって、新しい文化を発信するにはやはり渋谷だ!と思って2店舗目をオープンしました。
とことんこだわった食材で作る、至極のすき焼き
お肉に関しては、可能な限り生産者さんの顔が分かるトップブランドのお肉を扱いたいという思いがあり、○○牛というブランドだけではなく、生産者さんのお名前もしっかり出すようにしています。仕入れの度に種類が変わるのが特徴で、こちらからあえて銘柄は指定せず、仕入れの都度、お肉屋さんが競りで落としたいいお肉を扱っています。
卵はマキシマムこいたまごという、日本で一番濃い卵というコンセプトで作られた福島県産の卵を使っています。漬物はたまたま僕が見つけたものがめちゃくちゃ美味しかったので、工場に直接連絡して扱うようになりました。赤だしは野菜を入れなくても成立するなと思い、お汁だけを提供しています。つまり、『ちかよ』は基本的に全て僕が好きなものを出す、僕の偏愛がたくさん詰まったお店になっています。
「ひとりすき焼き」戦国時代到来!元祖と新星の激突
大手の『いきなりステーキ』を運営するペッパーフードサービスが2024年12月4日、東京・新橋に新業態である「ひとりすき焼き」の店舗をオープンしました。そちらもなんと野菜なしで調理スタッフが焼いてくれるというのがコンセプト。このあたりの心境についても直撃してみました!
『ちかよ』の強みとは?大手との差別化戦略
率直な感想としては、本当に感慨深い思いでいっぱいです。僕が元々このすき焼きの業態が絶対に当たる可能性が高いと考えたのは、いきなりステーキさんをはじめとした専門店を研究したからなんです。業態を研究したというより、なぜ消費者が専門店に足を運ぶのか?という深層心理の研究です。日本人はそもそもそんなにステーキを食べないのに、あれだけのニーズを掘り起こしたのは本当にすごいですし、天才だと思っています。なので、リスペクトしているいきなりステーキさんが同じようなスタイルを始めることについては、ちょっとした嬉しさもあります。『ちかよ』をオープンしたときから真似されることはある程度想定していたので、お店を母親の名前にしたり、僕がお店に立ってストーリーを話したりと、真似されにくい点を作るようにしていました。
元祖のプライドとさらなる高みを目指す決意
嬉しかった反面、元祖であるというポジションは守らなければなりません。うちが元祖であることを認知してもらうためには、お店のストーリーを地道に語り続けることが大事だと思っています。これは大手のお店には真似できないことではないでしょうか。このストーリーと僕自身の能力、そして生産者さんこだわりのお肉を使っているところが差別化につながっていくと思います。なので、あまり国内での店舗数は増やさずに、今ある店舗をとにかく強くしていくことをやっていきたいです。模倣されるのが嬉しいと言うと少し語弊があるかもしれませんが、あくまで元祖であるという自負があるからこそ、そういう感情が出てくるのだと思います。
『ちかよ』が描く、すき焼き業界の未来図とは?
業界の今後のあり方として、今まで高級店に行っていた人が『ちかよ』に来たり、逆に『ちかよ』を体験した人が本場のすき焼き屋に行ったりするというような、両方を行き来する時代が来ると思います。そうやってすき焼き業界全体の裾野が広がっていくことで、両者の売上が上がるのはいいことだなと感じています。
今後は主に東南アジアに進出したいですね。日本を代表する世界的すき焼きブランドを作りたいという思いがあり、そのためには早い段階から海外で勝負するしかないので、2025年には動き出したいですね。
『ちかよ』では、誕生日の人がいると、店主の藤原さんがウクレレ弾いてハッピーバースデーを歌ってくれるそうです!友達の家にちょっと美味しいものを食べに行くぐらいの感じで、フランクに気構えずに食べに行ってみてはいかがでしょうか。